「勉強前」7つの準備テクニック
1つ - 知っていることを書き出す -
自分が覚えるべき内容を書き出してもダメ
新しい知識を学ぶのは楽しいことですが、同時にとても難しい作業です。
知らないジャンルの本を開いてみたら、まったく意味がわからず、心が折れそうになった経験は誰にでもあるでしょう。知らないことばかり書いてあれば、嫌になってしまうのが当然です。
そんなときに使ってほしいのが、「知っていることを事前に書き出しておく」というテクニックです。これはハーバード大学が効果を確認した技法で、次のようなステップで行います。
1.「勉強の内容に関わりがありそうなことで、自分がすでに知っている知識は何だろうか?」と考える
2.思いついた内容を書き出す
学習の前に「これから覚えるべき知識」を書き出す人は多いですが、本当に効果が高い方法は、実をいうとその真逆です。「すでに自分の頭の中にある知識」を思い出したほうが、新しい情報を理解しやすくなり、記憶への定着率も高くなります。
たとえば、電気の仕組みについて新しく学びたいとしましょう。ここで、何の準備もせずに「フレミング左手の法則とは……」などと書かれた教科書を読み始めても頭に入ってきません。
代わりに、勉強の前に「電気について知っていることは?」と考えてみます。
・電池は電気を閉じ込めたような状態だ……
・冬にドアノブを触ったらビリッとしたことがある……
・カミナリは空から電気が落ちてくる現象だな……
電気についてさんざん考えた後、あらためて参考書を開いてみたらどうなるでしょうか?
「電荷は物体に蓄えられるから、これがドアノブでビリッとくる原因なんだな。カミナリは大気に電荷がたまった静電気の一種なのか」などと考えられるようになり、一気に理解が進みやすくなるのです。
新しい知識がスルッと頭に入る
もともと人間の記憶には、古い情報に新しい知識を結びつけながら覚える仕組みができています。すでに持っている情報を木の幹だとすれば、そこから枝葉を遠くまで伸ばしていくのが学習です。
新たに学んだ知識が古い情報と切り離されていると、私たちの脳はたいした反応を起こしません。
あなたがすでに持っている「ドアノブに静電気がたまっている」といった知識に、「電荷は誘導体に蓄えられる」などの新たな状態が結びついた瞬間から、ようやく人間の記憶は働き出すのです。
人間の脳は、古い知識と新しい知識の結びつきを意識しています。
新たな本を読むときは、はじめに目次や参考文献、著者の略歴、グラフなどを簡単にチェック。それが「頭を良くする方法」についての本であれば、「運動と脳神経の関係など、脳の成長に関する情報が入っていそうだな……」とか「そういばこの間、脳トレの効果を調べた論文を読んだな……」といった具合に、内容と関係がありそうな知識をできるだけ思い出していきます。
このひと手間だけで、まったく勘が働かないジャンルの本でもスルッと頭に入りやすくなるから人間の脳はおもしろいものです。すべての知識を思い出す必要はないので、頭の準備体操ぐらいの気持ちでやってみてください。