学力を向上させることを勉強以外の日頃の生活習慣にも気を配り、自身の勉強スタイルを有意義なものにしてほしいです。
そこで今回は、食生活に焦点をあてていきたいと思います。
文部科学省では「1日のスタ-トは朝ごはんから」を掲げ、1日を元気で活動するために朝食を食べることが大切であることを推進しています。
これは食事、運動、休養及び睡眠の望ましい生活リズムを身に付けるためには、望ましい食習慣を育成することが不可欠であり、1日を気持ちよくスタ-トするため朝食はその重要な役割を担っていることを意味しています。
食べることは生きるための基本であり子供の健やかな心と体の発達に欠かせない事であり、子供の食事は体にも脳の発育にも重要なものです。
最近は小中高生で朝食を抜いてしまう子が増え、午前中に体に力が入らなかったり頭がボ-っとしてしまい集中できなかったりする子が増えているそうです。
食事を抜くことで低血糖になってしまい倒れたり、それに近い症状を訴えたりする子も増えているそうです。
やはり成長期には、しっかりとした食事をとることが体や心の成長になくてはならないのです。
では朝ごはんを抜くとどうなるのでしょうか?
朝ごはんを抜くことでイライラしたり集中力が出ないといった体の不調を訴えることでしょう。
それは脳のエネルギ-源であるブドウ糖が不足しているため、体にいろいろな不調を引き起こしてしまうのです。
ブドウ糖は体内に大量に蓄えておくことが難しくすぐ不足状態に陥ります。
朝起きた時の人間は空腹状態がほとんどですがそんな状態のまま1日の活動を始めようとしても十分に蓄えられていないため前日までの食事で得たブドウ糖では足らずに集中力がなくなるのです。
ブドウ糖はご飯やパンなどの「主食」が消化されることで作られますので、朝食を食べることでブドウ糖がきちんと脳に行き、機能するのです。
ちなみに、文部科学省が行った調査によりますと、平成27年(2015年)に「全国学力・学習状況調査」によりますと、毎日朝食をとる子供とまったく食べていない子供では明らかに差があるとの調査結果が出ました。
一概に朝食をとっている子供の学力が高いとは言えませんが、毎日朝食を食べる子供ほど学力が高い傾向にあることが一貫して示されているのです。
朝食をとることで生活リズムが整います。
つまり単に朝食を食べれば学力が上がるということではなく、朝食をしっかり食べている子供は、生活状況や生活習慣が規則正しく行われていることの現れなのです。
朝起きてすぐには食欲はありません。
また食べる時間も必要ですから自ずと早起きをすることになります。そして早起きをするためには夜更かしをせず早く就寝するでしょう。
このように朝食をしっかり食べることにはきちんとした生活リズムがあってこそなのです。
では具体的には食生活においてどんなことを意識すればよいのでしょう。
まずはよく噛みましょう。
自然科学研究機構生理学研究所名誉教授柿木龍之介氏が2008年によく噛むことが脳を活性化することを証明しました。
また1995年に岩手医科大学教授がよく噛むことと学力の関係を調査し、よく噛む園児ほど知能指数が高い傾向にあるとの結果が出ました。
これは、歯の下には歯根膜という器官があり、噛むたびに歯根膜が押されポンプのように血流が脳に送り込まれることで脳が活性化します。
何度も続けることで隣り合っています記憶力を司る部位「海馬」が刺激されるためです。
噛むことが前頭前野や海馬の他あらゆる脳の領域を活発に働かせ頭の回転の速さ、記憶力などに影響し強いては学力アップにつながるのです。
次に栄養面ですが、私たちの体は糖質・タンパク質・脂質から得られるエネルギ-を使って様々な活動を行っています。
脳も同じくエネルギ-を必要としています。
脳のエネルギ-になることが出来ますのが、3大栄養素のうち糖質だけです。
脳を活発に活動させるためにもしっかり糖質を含む炭水化物(ご飯、パン、麺など)をしっかり取るようにしましょう。
またこの糖質をエネルギ-に変えるのにビタミンB₁(豚肉、玄米、うなぎなど)が必要です。
このビタミンB₁が不足しますと糖質の代謝がスム-ズに行われません。
ビタミンB₁には疲労回復にも効果がありますので積極的にとりましょう。
加えて鉄分(赤身の肉・魚、あさり、ブロッコリ-や小松菜などの野菜)もしっかりとりましょう。
鉄分が不足し、貧血状態に陥りますと十分に脳が働きませんし、体に起こる様々な不調に苦しめられることでしょう。
なお植物性の場合鉄分の吸収が低いので、ビタミンCも併せて取るようにしましょう。
お子様の学力向上に、食生活面の改善もアプロ-チに入れてみてはいかがでしょうか?