「自己肯定感」昨今よく耳にする言葉でしょう。
「自己肯定感」つまり自分を肯定する感覚のことを言い、具体的には自分に価値があることを分かっている、自分の力を信じられる、自分は大切な存在だと知っていることであり、この自己肯定感が高いほど自分を信じどんなことに対しても前向きに生きていけるのです。
反対に、自己肯定感が低い場合、自分を否定する癖がついてしまうので、1度失敗したことには2度とチャレンジしない、成功に対してもゆがんだ考えを持つようになるなどネガティブな影響を受けてしまいます。
こと日本のこどもは諸外国のこどもに比べ、この自己肯定感が低いと言われています。
この自己肯定感は成長過程で育まれるものですので、親の言動が大きく影響しています。
一つ例を挙げますと、日本の謙遜文化があげられます。
日本では謙遜は美徳とされていますが、海外において謙遜は美徳の考え方を好ましいこととは捉えない国々が多いようです。
日本において、自身の家族を愚息や愚妻などと表現しけなすことを良しとする文化がありますが、ことアメリカを例にあげますと、自身の家族をほめちぎることが主流です。
よく英語ネイティブが使う言葉で「I’m proud of you」がありますが、誇りに思いますと訳すのでは、少々意味合いが違ってきます。
と言いますのもシリアスなものではなく、何かを頑張った人や達成した人に対する誉め言葉としての要素が強いためです。
例えば、テストで良い点を取ったこどもに対し、「I’m proud of you」と言い、こんなに頑張ったあなたとてもえらいわ!よくできたねとのニュアンスで日常生活中に良く耳にします。
「I’m proud of you」の言葉のもつ力は大きく、自信に満ち溢れること間違いないでしょう。
我々日本人は、褒められることについつい謙遜してしまったり、ましてやけなしてしまうことが多いですが、他国に見習って褒められることを正直に受け止め喜び、また自慢することも大切なことではないでしょうか。
ですので、親にネガティブなことを言われたこどもは、親が言ったことを忘れてしまうような些細なことでも言われたこどもはきちんと覚えています。
親はとくに人前では謙遜するつもりなのか自身のこどもを平気でけなします。
また反対に、親から「可愛い可愛い」と言われて育てられたこどもはほんとうに可愛くなるというのです。
このようにこどものころの刷り込みは、その後の人生を大きく左右されると言われています。
先述しましたように、親の言動が大きく影響をします自己肯定感の高さですが、以下のような原因でこどもの自己肯定感を低くしてしまうのです。
- 親がこどもの話を聞かない 話を聞かないというのは自分に興味がない、分かってもらえないという感情を生みます。また話を聞いていてもそれに反応しなかったり、くだらないといって突き放したりするのも自分を否定されたと思ってしまう原因となります。
- 親がこどもの行動を決定する。こどもは成長に合わせて自分で決められることがどんどん増えてきます。サッカ-をやりたいのに、将来のために他の習い事をさせるといった親の価値観ですべてを選択してしまうのは自己肯定感の欠如を生んでしまいます。
- こどもの挑戦を結果でしか判断しない。
- 必要以上に厳しくしつけようとする。厳しさも必要ですが、その中にも親としての優しさや思いやりをもって接しましょう。
ここでこどもの自己肯定感を高める上で褒める時叱る時どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?
相手を一人の人間として尊重することが大事になりますが、親の期待に応えたときだけ褒めるもしくは、才能や結果だけを褒めることは避けましょう。
結果に至るプロセスでこどもが工夫した部分やこどもが認めてほしいところを具体的にしっかり褒めてあげましょう。
こどもにとって身近な親が自分のことをきちんと見て認めてくれていることを知ること感じることはこどもの心の安定につながります。
また、叱る際にもコツがあり、人格や能力レベルで叱るのは避けましょう。
よく、こどもが嘘をついたときに、「嘘をつくような子はうちの子ではない」や「どうしてこんなことも分からないの。どうしようもない子ね」このような叱り方では、こどもの人格や能力を否定してしまいますので、避けましょう。
正すべきは行動であって、こどもの人格や能力ではないのです。
さらに、他のこどもと比較をして叱るのもやめましょう。
国内外の幸福に関する研究によりますと、「人と比較をすること」が幸福度を下げることがわかっています。
子供が100人いたら100通りの個性があります。
最後に、童謡詩人の巨星と称されながら若くしてこの世を去った詩人・金子みすゞの詩を
ご紹介します。
『私と小鳥と鈴と』
私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。
私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。